―MEMORY―
写真の風景と同じ薔薇の園。
彼女は微笑みながらそっと、棘を削いだ薔薇を僕の膝に乗せた。
何をしろ、と?
わからない。
僕は薔薇の花を揉み砕いた。
バラバラに千切れ、膝に散らばる赤い花びら。
血のよう……。
それを驚いたように見る彼女。
悲しみが見えた。
「なんてことを……ッ」
だって、何をしたら良いのかわからない。
でも、彼女の泣き顔は見たくなくて、僕は粉々になった花びらをかき集めて、彼女の手のひらに乗せた。
そして、僕が笑うと、彼女は一瞬驚いて、困ったように笑った。