―MEMORY―
なんて間抜けなのだろうか。
彼女の物だと思われる写真。
それは、僕の知っている彼女より幼くて、でも笑顔は変わっていなくて。
その写真は穴なんて開いてない。
穴が開いているのを持っているのは僕。
二枚の写真は同じ。
僕が探していたのは彼女だったんだ……。
気付いても今更遅い。
せめて、彼女の生きている間に気付けたら、何かが変わっていたのかもしれない。
頭に過るのは、病室で日に日に弱りながらも笑う君の姿。
戻りたい。
あの日々に……――