緋桜鬼譚


「っ……!」


 首筋に牙が触れた途端、朱都が顔を歪めて飛び退いた。どうして。私は待ちに待った贄だったのでしょう――?


「喰らえないよう、封印されている……お前、父親に何か特別なこととかされたか?」


「特別なこと、って……閉じ込められることだって、充分特別だと思うけど」


「そうじゃなくて……、」


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