雑用部+α

「…すみません。あの、殺して欲しい人がいるんですけど…」


「何気にすごいこと言ってるよ!!!この子」


「このお年頃になるとあるんですよ」

と冷静に言う山田健さん

「ないわ!!そんな時期!!」


「こ…殺してほしい人は」

「今までの会話全部無視してるよ。この子」

「ウン子だろ」


「山田健さん」

「おまえだって」

「マジですか?ウン子って言ったから?」


「…と、書いてあります」


「「?」」

よく見ると、女子生徒の手には紙があった。
多分、誰かに頼まれたのだろう


「二重帳簿って奴ですね」


「使い方違うだろ!!って、どこでそんな言葉覚えたんだよ」


「あの……殺してくれますか…?と、書いてあります…」


「いや、山田健って僕だから」


「え…嘘…」

女子生徒は驚いた顔をした

「で、誰?依頼してきた奴」

山田健さんは笑いながら聞く


「えっと…3の2の沢尻さん…です」


「猿渡先輩」


「ん?」

「そいつに、ちょっと仕返ししてきます」

「ご自由に。俺は無関係だから。あと、その女子生徒も」


「了解した」

そう言って、部室を後にする山田健。


「…わ…私、大変なことを…してしまったのですか?」

おどおどする少女に、猿渡は涼しい笑顔をし、

「うん。地雷いれちゃったねー」

「……」

暫く黙った後、少女は自分の鞄からアナログスティックを取り出し

「お詫びとして……食べます」

「いや何で?」

「先祖代々受け継がれてる、お詫びの仕方です」

「いや、そんなの見せられても、反応に困るよ」


少女は不気味な笑みを浮かべると

「そして、困惑し、許してくれる…という戦法なんです」

「汚ねーな!!やり方が!!」

「では…」

少女はひたすらアナログスティックを食べ続けた


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