雑用部+α




「あ、目が覚めた」

冷たい声が、哲の耳に入ってくる

「…てめぇかよ」

少し怒りを含んだ声で言った。

「それが、一応心配してくれた友に言う台詞か?」

「てめーと友達になった覚えはないけどな」

「うるせー!!それにしても…」

と怒鳴ったあと、猿渡は辺りを見回し

「誰一人おまえの見舞いに来てないな」

と嫌味を言った。

「うわっ!!寂しいなっ!!俺っちショックだ」

「俺っちとかキモッ!!」

「最近の流行りだよ」

「そんなの流行るわけねーだろ!!」

「帰りの挨拶あかんべー」

「ドラ〇もんか!!つーか最近流行りなの?ドラえ〇んの台詞」

「おお」


と二人はいつも通りの会話をした。

腹を刺されたというのに、すごいね。哲。


「んで、沖川唯のこと警察に言う?」

「ううん」

猿渡の質問に哲は首を横に振り、夢のなかで思ったことを猿渡に話した。

だんだん呆れ顔になる相手のことなんか、全く無視をして

そして最後に哲はまとめた。

「ま、唯の大きな愛が、俺のハートを射止めたってことだな」


と、明るく言ったが、猿渡は思いっきり殴った。




この4日後、哲と沖川唯は付き合い始めた

全く、人騒がせな話だよね。

哲の従兄弟で、沖川唯に刺された、女子はとんだ迷惑な話だよね


それと不思議なことに、この事件に全く先生が関与しなかったことだ。

普通、生徒が刺されたら、何か聞くはず。

まぁ、いいか。


-end-

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