雑用部+α
もうすぐ卒業式だ。
三年生にとっては、喜びと不安が入り交じる行事。ってよく誰かが言うよね
「おーい、秀吉ー」
あの事件以来、ぱたりと女遊びをやめた哲が話しかけてきた
「今日の放課後、買い物に付き合ってくれるかな?あ、いいって?ありがとう」
「いや、勝手に決めつけるなよ!!」
と言ったあと
「つーかおまえだけだぞ。こんな時期に呑気な奴は」
「しけた面したって何も変わらなねーだろ。だったら、明るく生きていこうじゃないか!!」
と明るく言った。
「…おまえ本当、能天気だよな」
哲は「フフフ」と、得意気に笑い、
「俺は今が楽しかったら、それでいいんだー」
と、くるくる回りながらどこかに行ってしまった。
「…あいつ絶対早死にするタイプだ」
※
「卒業式まで、あと4日だ。みんな悔いの残らないようにしろ」
と先生がお決まりの一言を言う。
猿渡は不思議に思う。
なんの悔いだろうか?と。
好きな人に告白か?
でも振られたら、告白したことを後悔するしな。
部活だって、とっくに引退してる。
「俺が答えてあげよう!!」
いつの間にかいた哲が、胸を反り、自信満々に答えた。
「まず一つ。秀吉は本当に主人公なのか?というところだ」
「いや、話ずれてるだろ」
「主人公にしては、影が薄すぎる。脇役の方が目立ってる。あ、俺のことね」
「しゅ…主人公は、影が薄すい方がいいんだよ…!!それと、後者は余計だ!!」
「それに何の変哲もない、そのしゃべり方」
「普通が一番だろ!!」
「その考えが甘すぎる!!!貴様、ただでさえ影が薄すぎるんだ。だったらしゃべり方ぐらい特徴つけろよ!!!」
「な…なんだよ。語尾に『にゃん』とかつけろとか言うんじゃねーだろーな?」
「では、それで。はい、どーぞ」
「え…あ…、えーっと、もうすぐ卒業式だにゃん…」
言った瞬間、全身身震い、鳥肌がたった。
「よし!!その調子だ。今度は、全世界封鎖に追い込むわけにはいかないか?って語尾につけて」
「いや、長いだろ!!それによしじゃねーよ!!!」
と猿渡は思いっきり哲に、アッパーカットをした。