高校生の事情
「む、む、虫が…虫が傘の中から…」
私は気絶寸前ながらもタケルにいう。
私にも苦手なものがある。虫だ。
タケルは虫?と言いながら私をみる。
「虫怖いの?」
と口角をあげて私にいうタケル。
「わ、私にだって怖い物はあるわ!!人間だもの。」
私は傘から虫がいなくなったか確認すると何事もなかったかのように立ち振る舞う。
「何?」
と冷たい視線をタケルに向けるとタケルは
「ううん。こんどは俺がまどかを虫から守る番だね」
と笑いながら私についてくる。
私はタケルの言葉を無視しながら歩いていく。
日が傾き初めて辺りが暗くなる。