蓮華畑の迷い女性
「男性の友人からはちょっと厳しい事を言われました。

私の言動が彼から嘘を引き出している、彼の心が離れる方向に向いてるって。

『携帯を見たり、他の女の子と遊びに行ったことを言われ続けたら彼だって本当の事を言い難くなる。
そんな時には、彼だって外で相談する相手が必要になるから、元カノや他の女の子に話をする。
でも、正直に真理に言えば尚更疑うから、嘘や誤魔化しの悪循環になるんじゃないか。』
って言われました。

悪循環っていうのはもっともだと思います。
言われてみれば、確かに私の行動が彼の心を離しているようにも思えます。

だけど、今の私には、彼の行動が私を心配させたくないからだって考えられないんです。
彼が正直に話してくれれば、私だって疑いません。

別に、彼が元カノと会うのを禁じたりするつもりもないんです。
ただ彼の嘘が許せないんです。」


「確かに、悪循環になってるな。」


「このままだと、私の知り合いのようになってしまうんじゃないかと思って怖いんです。

その人は学生時代から私の面倒を見てくれた優しくて明るい6歳年上の女性で、
私は『お姉さん』って呼んでたんです。

お姉さんは5年前に結婚したんですけど、去年心の病になってしまって離婚しました。
その時私に打ち明けてくれた話しでは、ご主人が小さな嘘を吐く人だったそうです。

お付き合いしてる時から気がついていたらしいんですけど、
結婚したら責任感のある男性に変わってくれるんじゃないかと思ってたって。
それに、浮気とか女遊びとかしそうもなさそうだったので、小さな嘘くらい我慢しようって。

でも、休日に二人で出かける約束をすっぽかしてパチンコに行ったり、
キャバクラに通っていたのを上司との付き合いのせいにしたり、
結婚後も親から小遣いを貰っていたのをずっと黙っていたり、
無責任な嘘ばかり吐かれて、最後には浮気していた事まで判って。

ご主人の事が何も信じられなくなったって、お姉さん自身ふさぎ込むようになってしまって・・・。

私の彼も同類なのかなって考えたら、怖いんです。」


「それは気の毒な話だ。
でも、真理さんは彼の事が好きなんだろう?」
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