蓮華畑の迷い女性
「はい。
嘘を吐く彼の事が嫌いになれたらどんなに楽か。
嘘を吐かれても、もし浮気されても彼から離れたくないって感じるんです。
嘘を吐かれるのは辛いけど、彼から離れるのはもっと辛いんじゃないかって。
・・・・・
彼のいない生活なんて考えられないんです。」


「そうか。
そんなに彼の事が好きならしょうがないな。」


「どうしたら彼は嘘を吐かなくなるんでしょうか?
私はどうしたらいいんでしょうか?」


「そうだな・・・・。
いくつかの方法が考えられるけど・・・、

一番簡単なのは、一度別れる事だよ。」


「えぇ!!そんな・・・・。」


「真理さんは、彼のいない生活なんて考えられないって言ったけど、
同棲を始めてから実際に彼のいない生活をしたわけじゃないよね?

だから、本当に彼のいない生活が出来ないのか、
どのくらい辛いのかは判らないだろう?

今の真理さんは、1日の大半を一緒にいる彼が傍からいなくなることが怖いと思ってるだけで、
まるで、いもしないお化けを怖がって暗闇を怖がる子供のようだよ。

もしかしたら、彼の嘘を聞かなくてもすむ分、心は楽になるかもしれない。」


「それはそうですけど・・・。

でも、もし一度別れたとして、彼がまた戻ってきてくれるとは限らないですよね?
私と距離を置いている間に他の女の子とくっ付いてしまうかもしれないし・・・。」


「うん。それは判らない。

別れ話をした時に、彼が心を入れ替えてくれるかもしれないし、
一度別れてもまた戻ってくるかもしれないし、
もしかしたら、別れて他の女の子とくっつくかもしれない。

これは別れてみなければ判らないことだらけだ。」


「そんなの嫌です。考えたくもありません!!」


「だろうな。

つまり、真理さんは彼と別れずに、彼が嘘を吐かなくなればいいって思ってる。

結局、彼が変われば二人は上手くいくと思ってるわけだ?」

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