煌めきの瞬間



いつもより少し低く感じた隼人の声に振り返ると、真剣な眼差しが俺を捕らえた。


隼人……?



一瞬、俺を睨みつけているように見えた。

けれどその瞳はすぐに柔らかいラインを描き、いつもの明るい声が俺の鼓膜を揺らした。



「まっ、気持ちをぶつける事は良いと思うけど、今度ぶつける時は深呼吸して足元を確認することだな」



はっ……?



俺の肩をポンッと叩いて体育館の中に入っていった隼人。


今日の隼人はなんだかいつもと違う気がした。



なんだよ……。

ぶつける前に深呼吸? 足元……?



そう思いながら視線を下ろすと、一瞬自分の目を疑った。



土……?


靴に土がついてる。



俺、中靴のまま外に出て、ここに戻ってきたのか……?



初めてその事実を目の当たりにした俺は、自分の行動を思い返した。




< 113 / 116 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop