煌めきの瞬間
秘密の穴
入学してから1週間。
通学路や校舎の中にも慣れてきた。
毎日教室の窓から手を振ってくれる咲坂さんから、時々『腹減ったね』とか『眠い』ってメールが授業中に届くようになり、
私と美鈴はコソッと返信。
いつも咲坂さんの隣に居る安藤さんは、近いようでとても遠い存在だった。
朝、いつもの通学路を歩いていると、一匹の黒猫が足早に横を通り過ぎた。
あっ、かわいい……。
野良猫かな?
猫の姿を視線で追っていると、一匹の子猫の元へ辿り着いた。
うわぁ~。かわいい~。
親子そろって真っ黒だぁ。
みゃーみゃーと鳴く子猫の額に頭を擦りつけた親猫は、一瞬わたしの方を振り返って歩き出した。
あっ、どこ行くんだろう。
気になったわたしは、登校時間を気にせず後を追っていた。