煌めきの瞬間
美鈴の言ってたとおりだね。
安藤さんは表情を変えないし、ほとんど口も開かない。
だけど、人のためにこんなにもしてくれる優しい人。
安藤さん‥‥
美鈴のお姉ちゃんと居る時はもっと喋るのかな‥‥。
「何?」
「え‥‥?」
「俺の顔に何かついてる?」
「あっ、いえ! 何もついてません!」
屈んでる安藤さんの顔がすぐ近くにあるにもかかわらず、わたしったらつい見惚れて‥‥。
「苦しい? 顔が赤いよ」
「えっ!? これは、その‥‥少しでもお腹を引っ込めたら抜けやすいかな~と思って!」
慌てて目を泳がせたわたしの前で、安藤さんの頬が緩んだ。
「ふっ――‥‥変な人」
あ‥‥笑った。
今、一瞬だけど笑った。
安藤さんの大人びた顔立ちが、笑顔になるとかわいく見えた。
あれ?
何これ‥‥
胸の奥に、何かがぶつかったような感覚。