煌めきの瞬間
安藤さんと別れた後、
保健室で破れたスカートとフォックを縫い付けた。
保健室の先生に「彼氏の制服?」と聞かれて「違います」って答えたけど、その後の言葉が見つからなかった。
安藤さんは、隣の校舎の生徒で、咲坂さんの親友で、友達の美鈴のお姉さんの彼氏。
わたしにとって安藤さんは、誰かの何かであり‥‥
そう、直接的な仲ではない。
「ありがとうございました」
保健室から出たわたしは、両腕を伸ばし安藤さんの制服を持ち上げてみた。
うわぁ‥‥マジマジと見たら、凄く大きい。
背が高いとばかり思ってたけど、安藤さんの体って大きいんだ。
ああっ、袖に皺が出来てる~。
申し訳ないな‥‥
制服を借りたり、二度も助けてもらってるわたし。
安藤さんから見たら、きっとわたしは厄介者なんだろうな‥‥。
大きなため息をついたわたしは、一時間目が終わった教室に入った。