煌めきの瞬間
危険な男子?
「春香!」
遅刻してきたわたしを、美鈴が笑顔で迎えてくれた。
「おはよ」
「春香が遅れてくるなんて珍しいね?」
「‥‥うん」
わたしが持っている安藤さんの制服に視線を向けた美鈴は、一瞬目を丸くした。
「それ、男子のブレザーだよね? 何かあったの?」
「うん」
わたしは短い休み時間の間に、今朝の出来事を美鈴に話した。
黒猫の親子がかわいかったこと。
つい後を追って知らない道に迷い込んだこと。
お尻が穴にハマったというところで、美鈴は心配しながらも笑った。
「もう~、笑いごとじゃなかったんだよ」
「ごめん。ごめんね。想像したら可笑しくて‥‥」
「もう‥‥。それでね、そこに安藤さんが通りかかっって」
「え‥‥楓さんが?」