煌めきの瞬間



「咲坂さん、安藤さんからわたしの事聞いてないみたい」


「そうなの?」


「うん。メールで、『お腹こわしたの?』って‥‥」



咲坂さんと安藤さんはいつも一緒にいるのに、どうして言ってないんだろう‥‥。



「楓さん、元々無口で興味のない事は口にしない人だから」



え‥‥?



一瞬間があったような感覚の後、美鈴の言葉がチクリと胸に入り込んだ。



そっか。そうだよね‥‥。
それは当たり前のことだよね。



「ははっ」


「春香?」


「あっ、チャイム鳴っちゃった! 咲坂さんに大丈夫ってだけでもメール打たなきゃっ。
美鈴、また後で話すね!」




チクリと入り込んだ痛みを誤魔化すように、わたしは咲坂さんにメールを返信した。





< 65 / 116 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop