煌めきの瞬間
「ごめん、楓~」
授業が終わると、後ろから隼人の声が聞こえ、
その声に交じって女子の高い声が響いた。
「あれだけで呼びだしなんて酷いよね」
「楓君かわいそう~」
自然と女子の視線が集まるのを感じ、それから逃れるように窓に目を向けた。
あ……あの子……
美鈴ちゃんの友達の春香ちゃん……だっけ。
隼人がお気に入りの背が小さい女の子。
いつも自分に自信がなさそうで弱々しく見えるけど、美鈴ちゃんを悪く言われた時は強い声だったな……。
ほら、今だって美鈴ちゃんが駆け寄って来たらあんなに嬉しそうに。
「隼人」
「ん?」
「あそこ」
俺の人差し指が向いてる第二校舎に視線を向けた隼人の表情が、一瞬でパッと明るくなった。
「あっ、春香ちゃんだ~。美鈴もいる~」
『美鈴も』って……。
隼人の本命は美鈴ちゃんだろ。