煌めきの瞬間
「あのさ、その嘘っぽいセリフやめろよ」
「は……?」
「演技力の無さに胸が悪くなる」
「なっ、何がだよ」
目の前にいる俺を避けるように、遠くに居る美鈴ちゃんたちに大きく手を振る隼人。
ここまで言ってもしらを通す気か……。
「隼人、好きな子がいるだろ」
「はい? 急に何言ってんだよ」
「あそこに」
あそこというのは、隼人に気づいて手を振り返してる美鈴ちゃんがいるところ。
大きくふってた隼人の手がピタッと止まり、俺に向けた隼人の顔は真っ赤だった。
えっ……図星だからってそんな赤くなる事ないだろ?
隼人のこんな顔、初めて見た。
ふっと笑みを零した俺に、隼人が焦ったように口を開く。
「笑うなよ! ってか、絶対言うなよ!?」
「わかってるよ」