いつかまた、同じ空が見れると信じて
「牛丼よりはるかに高くついたなぁ。」

パンパンに入ったスーパーの袋を抱え、僕らはマンションへ向かった。

「きったなーいっ。」

部屋に入るなり「汚い」の嵐だった。だから汚いって言ったのに。

「おっきいゴミ袋持ってきて。」

杏子に言われるままに台所の戸棚からゴミ袋を出してくると、

「よし、拓也君。今度はお兄ちゃんとどっちが早くゴミ袋いっぱいに出来るか競争しよう。」

と、杏子は一枚ずつ僕らに袋を手渡した。すると、拓也は足元にあったものを手当たり次第袋に入れ始めた。散々走って回ったのにどこにそんな力が余っているのだろう。・・・と、いつの間にかタクヤの袋の中には刑法の教科書が突っ込まれている。

「あー待て待てっそれはダメだって!」

「だってゴミー。」

「ばかっそれはゴミじゃないって。」

タクヤは笑いながら杏子の後ろに隠れる。

「こら、女の子の後ろに隠れるなんてずるいぞ。待て
っ。」

「ほら、拓也君、頑張って!」

「杏子は早く作れよ。」

僕はタクヤに目を向けたまま彼女を促した。

「うるさいなぁ。今やるとこ。料理なんて滅多に作っ
たことないんだからしょうがないでしょっ」

「うっわ、まじ?大丈夫?」

「さぁ。」

「さぁって。おいタクヤ。お姉ちゃんの料理、不味くて喰えないかもよ?」

「えー。」

笑っているタクヤのゴミ袋はもう既に半分が埋まっていた。

「ほら、早くしないと拓也君に負けるよ。」
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