いつかまた、同じ空が見れると信じて
 二つのゴミ袋がいっぱいになる頃には、僕の部屋はすっかり綺麗になった。悪戦苦闘しながら台所に向かっていた杏子も、漸く下味をつけた豚肉を冷蔵庫に入れたようだ。さてっと向き直った彼女は僕らを見るなり

「二人とも汗臭いよ。」

と言って、満足そうに部屋を見渡した。

「臭いってよ。タクヤ、シャワー浴びるか?」

「うん。」

二人でシャワーを浴びて出てくると、杏子はダボダボ
のTシャツに身を包んだタクヤを見るなり、

「可愛い~っ。」

と手を叩いて笑っていた。僕はさすがにパンツ一丁で出て行くわけにもいかず、Tシャツとジャージを履いて出た。

「杏子も入ってくれば?パーカーとか貸すから。」

「ん~。どうしよっかなぁ。」

躊躇している杏子を見て、やっぱり女の子なんだなっと自然と顔が綻ぶ。

「入っておいでー。」

テレビに熱中しながら振り向きもせず言うタクヤを見て、

「拓也君がいれば安心だねっ。」

と杏子が僕を見た。あぁ、躊躇はそこにあったわけ?

「どうせ襲うなら、もっと色気がある子にするからご
心配なく。」

杏子はぷぅっと頬を膨らませながら着替えを受け取ると、

「拓也君、お兄ちゃんが覗かないように見張っててねっ。」
と言ってシャワーを浴びに行った。
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