いつかまた、同じ空が見れると信じて
さてさて、杏子が作った生姜焼きは案の定・・・不味かった。不味かったというより、醤油の入れすぎでしょっぱかったのだ。それもとてつもなく。初めの二、三口は三人とも無言で口に運んでいたが、

「しょっぱーっ」

杏子のその一言で大爆笑になった。

「しょうがないっ。俺が人肌脱ぎましょう。」

「修一、料理出来るの?」

「君よりはね~。」

僕は台所に向かい、少し大きめの鍋にインスタントラーメンを三人分入れた。それをそれぞれの器に入れ、その上にしばらくお湯に浸けた生姜焼きと、最後に卵を落とす。

「はい、お待ちどうさま。」

「ラーメンだぁっ」

お腹が空いていたのだろう。タクヤは勢い良くラーメンを食べ始めた。

「どうだ?美味いか?」

「美味い美味いっ。お肉もしょっぱくない。」

「だろ?」

不満そうな顔をしながらラーメンを口に運んだ杏子も

「あ、本当だ。しょっぱくない。」

と納得したようだ。

「どうやったの?」

「簡単だよ。お湯で洗っただけ。」

「もう、何それ。」

ラーメンを食べ終わると、トランプやテレビゲームで遊びつかれたタクヤは僕と杏子が食器を片付けている間に、ベッドでスヤスヤ寝てしまっていた。

「幸せそうな顔して寝てるなぁ。」

「なんだか起すの可哀想だね。」

「でも泊めるわけにはいかないだろ?」

「そうだね。私が連れてく。」

と言いながら杏子はタクヤの頬を優しく突っついている。

「なぁ杏子。なんで最近来なかったのかはもう聞かないけど、明日からももう来ないのか?」

「・・・」

「まぁ、色々事情とかもあるんだろうけど。なんかあったら言ってくれな?そりゃまだ会ったばっかりだし、俺なんかじゃ何にも出来ないだろうけどさ。やっぱ毎日来てたのに急に来なくなったら心配もするし。もう知らない人じゃないんだからさ。」
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