光だった恋



できることなら
もう一度、君の心に戻りたい。




「ねぇ、茜?」


「何?」


「向こうで翼くん、見てるよ」


「え?」




ホントだ



なんでだろう。







「茜、ちょっといいか」

















「翼。どうしたの?」


「まあ、ついて来い」


「うん」





何なんだろう?


翼から話?


なに?


別れ話?





きっとそうだよね



ほら、この空気が
そんな雰囲気醸し出してる



「茜、俺、引っ越すことになった」




「え?」


引っ越す?


「最近、冷たくしてたのは、別れが辛くなるから。慣れる練習」


え?

引っ越す?翼が?


だから
冷たかったの?



そんな、もっと早く
言ってよ



「いつ?いつ行くの?」


「明日だよ。だから茜だけには今日伝えなきゃいけないって思って」


「どこに!?引っ越すの?」


「東京。」



「え、遠すぎるよ」




そう、遠いよ



高校生なら
まだしも私たちは中学生
名古屋から東京まで
何回も行けるお金はない




それに
そんな暇もないだろう


「約束する。高校生になったら、きっと戻って来れる。一人暮らしできるようになったら。それまで俺は、お前ひとりを想ってる。だから、できるなら待っててほしい。」


「うん。グスッ」


「なに泣いてんだよ?今まで冷たくしてごめんな?ホントはだいすきだ。なあ、ごめんて。泣くなよ?泣いたらかわいい顔が台なしになる」


「うん。わかってる」

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