僕っ娘少女
「それじゃぁ、改めまして。副会長の榊原志騎です」
「会長じゃないんですか…」
「僕が双子の兄、空野黄昏」
「僕が双子の弟、空野夕昏」
「はぁ」
気の無い返事をする透。
「夏目崇だ」
さらっと簡潔に教えてくれた長身の男。
「先程も言いました、龍真透です。理事長にいわれ、生徒会に来ました」
一応礼儀として一礼する。
「マジで女の子みたいな子だね。お前」
双子の片割れの黄昏が透に向かって言う。
「はぁ。どーも」
どうにもこうにも気のない返事をするのが得意らしい、透。
ぼーっと立ち尽くし、相棒とやらを待っている様子だ。
「ありゃ、いじりがいがまるでないね。夕昏」
「そうだねぇ。黄昏」
こそこそと双子が会話をした。
透は訊いていないらしく、いまだに黙っている。
「ところで、透はここに来たんだ?」
副会長の志騎が透に尋ねる。
「いきなり…呼び捨て……(まぁいっか)。なんか、僕は運動神経がいいからって」
細かい理由は透も知らないため、それだけしか言えない。
『運動神経がいいってだけなら、僕らに劣るよ?』