きらい。だから好き。
変なキモチ。
『文化祭で一番熱いのは、ステージでのイベント』
全校でアンケートを取ったら、当然そういう結果が出た。
「司会用のマイク、この辺でいいですか?」
「もうちょい右、あ、行きすぎ…! はい、オッケー!」
そういう結果が出たからには、体育館業務担当の私が、最高のステージを作らなくちゃ……
──っていう気持ちがあったかと言えば、それは嘘。
「あのー」
「何だ?」
先生に申し訳なさそうに交渉してみる。
「クラスの準備が間に合いそうにないので、もう行ってもいいですか?」
「うーん……もうほとんど仕事ないしね。いいよ」
「じゃあ、後はお願いします!」
深々とお辞儀をした私は、クルリと背を向けて歩き出した。
背を向けた後は満面の笑みで、ペロッと舌を出している私がいる。
本当は、ただ仕事を放りたかっただけなのだ。
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