きらい。だから好き。
恨みのキモチ。
その後、二人が何を話したかなんて私は知らない。
知っているのは、
ハルのことをミキに明け渡して、私はステージ確認をしているということだけ。
舞台裏に行き、スタンドライトだけが灯す薄暗い部屋で、各イベントで流すBGMの順番を確認しておく。
その机を黒い影が覆った。
影の方を見やれば、首からベースをぶら下げた『石田ケイ』──。
いつも、のらりくらりやってきては不思議な空気を持ち込む、にべもない男子だ。
クールな上にベースも達者ときているから、バンドの観客半分は男女問わず石田ケイ目当て──……
ちなみにこれも集計済み。