きらい。だから好き。
その冷たい瞳の奥まで、見えてしまいそうな距離……。


急接近にうろたえた私は、無意識的に半歩ひいた。

ガタッと机にぶつかる。



──近い──……っ!!

鼻先、10センチ以下──。



相手があの石田だから、余計にドキドキした。


そして石田は、相当焦っていた私に顔色一つ変えないでこう言ったのだ。



「出てるよ顔に。『好きだけど嫌い』って」



どぎまぎしている私を小馬鹿にしてクスリと笑い、少し距離をとる。

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