きらい。だから好き。
だから好き。
とうとう幕を開けた文化祭。
みんな夜遅くまで頑張って作業した甲斐あって、まだ午前だって言うのに、どこも客で賑わっている。
私は体育館の入り口にたたずみ、手に持っていたプログラムを広げた。
そろそろ、バンドが始まる時間。
いっそ、バンドの時間だけでもローテーションを変わってもらおうかと考えた。
仕事を放棄して、観覧席からハルたちを見たい。
──だけど。どうやら気が変わりそうだ。
なぜなら、人ゴミの中からミキがやってきたからだ。
「カナエ! もうすぐバンド、始まるね! 楽しみだなあ」
「そうだね」
「手とか振ったら、気付いてくれるかな? ──なんてね。見えないか!」