きらい。だから好き。
やがて、バンドの前のイベントを終えるアナウンスがかかり、ステージは光を落して幕を閉じる。


今、幕の前では2人司会がトークで盛り上げているところだ。

その間に、バンドメンバーたちはステージに上がる。
石田も、他の仲間たちも、定位置につく。


ステージに向かおうとしたハルが、私を見て言った。


「ちゃんと見てろよ! 昨日言ったこと、撤回させてやるからなっ!」


そんな子供じみたセリフをサラリと、あの屈託ない笑顔を添えて言って退ける。

だから私も言ってみせた。


「やれるもんならやってみな、音痴!」

「うるせえ! バカ!!」


ギターをぶら下げて、ハルもステージに立った。

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