Bad Girl~不良少女~

さっきまでの意地悪さと、たまに見せる裏の顔と、こういう優しさと……。


どの顔が、本当の栗崎なんだろう……。


……どれが本当でも、結局は栗崎なんだもんなぁ。


「稜ちゃん、落ち着いた?」


「ん……」


確かに涙は止まってる。


でも、胸の中で騒いでる何かは、一向に収まらない。


「でもほんと、びっくりしたぁ」


なんて笑いながら、栗崎はそっとうちの肩を持って離す。


うちの顔を覗き込むようにして、静かにキスすると"じゃね"と微笑みながら帰って行った。


玄関でドアが閉まる音を聞いて、我に返る。


「……何してんだろ、うち」


その場にぺたんと座り込んで、自分の行動を振り返る。


……。


うん、寒気しかしないっ。