Bad Girl~不良少女~
気を取り直して質問をする。
「只野くんっていっつも何時に学校来てんの?」
「え?」
予想外の質問だったのか、キョトンとする。
でもすぐに答えを出してくれた。
「そうだね…。学校が開くのが7時50分でしょ?僕は、それの5分前にはいつも校舎にいるよ」
メガネを手でクイっと上げながら真面目そのもの、という声で言った。
「え……。早っ」
びっくりして目を見開いたうちを見て、只野くんはちょっと笑った。
「真木さんも、そういう顔するんだね」
メガネの奥の目を細めて、彼は言う。
「は?」
「いや、気に障ったならごめん。いつも怒ってるような顔してるから」
"そういう顔もするんだね"ともう一度繰り返した。
うちにはどういう顔かわかんないけど、とりあえず学級委員とちょっと近づいたのは確か。
しばらくうちと談笑してくれてた只野くんが、急に驚いた顔をした。
「あ…ちょ…ごめっ」
立ち上がって、うちから離れて行ってしまった。
「ちょっと、只野くんっ!?」
唖然として、只野くんがじっと見つめていた方を向いてみた。