Bad Girl~不良少女~
「……おはよ」
そこには、だいぶ不機嫌そうな顔をした栗崎がいた。
「てめっ……」
びっくりして声が出ない。
でも、頭の中ではちゃんと納得していた。
只野くんは、学級委員長。
栗崎は、生徒会長。
うちは、目下栗崎の恋人。
……少なくとも、学校の中ではそういうことになってる。
つまり、生徒会長の恋人に手を出したと思われたら、只野くんの将来が潰れる可能性がある。
それを恐れた只野くんが栗崎を見て逃げ出したのもわかるよね。
腕を組んで教室のドアにもたれかかってる栗崎は、まだ少ない女子を悩殺するほどの輝きを放っている。
「ちょっといいかな、稜ちゃん」
なんかいつもと違う声のトーン。
首をかしげながらだるそうに栗崎の元へ行く。
「なに」
栗崎と向かい合うように立って、同じ格好をする。
「なに、じゃないでしょ。学校来てるなら会いにおいでよ」
それが当たり前でしょ、とでも言いたげな顔で栗崎はうちを見据える。