Bad Girl~不良少女~
「あのね、うちが学校に来てるのは、あんたに会いに来てるんじゃないの」
まぁ、事実っちゃぁ事実だし。
「え、そうなの」
言葉は驚いてるけど、声や顔はあくまで普通。
そんなわけない、と心から信じているような。
「聖華が綾村に会いたいって言うから、ついでに会ってんの」
そうじゃなきゃ、うちが学校に来ることもなきゃ、栗崎と会うこともない。
「ふーん。ついででも、俺に会いに来てるのは間違いないしょ」
それでもなお、クールな顔をする。
意地でも自分に会いに来てると言わせたいみたい。
絶対言わないけど。
「まぁ、そう思いたいなら思えば」
じゃ、と背を向けて教室の中に入ろうとしたとき。
「んぎゃっ!?」
「なんで逃げるの」
後ろから栗崎がギュっと抱きついてきた。
うちの耳元でそっと囁く。
「別に、逃げるわけじゃ……」
顔が赤くなりそうになりながら、威勢を失くしたうちの声。