Bad Girl~不良少女~
パッと離れて、手も離してちょっと距離をとって歩く。
「なに。こっちおいでよ」
「い、いいっ」
ぶんぶん首を振るうちの手を強引に掴んで、今度は自分から近づいてくる。
「稜ちゃんは、素直な方がかわいいよ?」
「……何が言いたいんだよ」
うちの顔を覗き込むようにして、そう言った栗崎の真意を聞く。
いきなり、今までの流れと関係ないこと言い出すから、何かあるのかと。
「別に。そのまんまの意味で受け取ってもらって構わないけど」
意味深な笑みを見せて、栗崎はギュっと握っている手に力を込めた。
「どうせ素直じゃないですよだ」
「え?」
栗崎に聞こえないようにいじけてみる。
素直じゃないのは、自分が一番分かってる。
なんどとなく、この曲がった性格が恨めしいと思ったもの。