Bad Girl~不良少女~



パッと離れて、手も離してちょっと距離をとって歩く。


「なに。こっちおいでよ」


「い、いいっ」


ぶんぶん首を振るうちの手を強引に掴んで、今度は自分から近づいてくる。


「稜ちゃんは、素直な方がかわいいよ?」


「……何が言いたいんだよ」


うちの顔を覗き込むようにして、そう言った栗崎の真意を聞く。


いきなり、今までの流れと関係ないこと言い出すから、何かあるのかと。


「別に。そのまんまの意味で受け取ってもらって構わないけど」


意味深な笑みを見せて、栗崎はギュっと握っている手に力を込めた。


「どうせ素直じゃないですよだ」


「え?」


栗崎に聞こえないようにいじけてみる。


素直じゃないのは、自分が一番分かってる。


なんどとなく、この曲がった性格が恨めしいと思ったもの。


< 216 / 438 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop