Bad Girl~不良少女~



思い返して見ると、あの日学校に行かなければ、

あの日焼きそばパンを買いに行かなければ、


栗崎に注意を受けることもなかった。


栗崎と出会うこともなかった。


そう考えれば、あの日がすべての始まりで。


「すべての始まりの日、でしょ?」


同じことを考えていたことも嬉しかったけど、栗崎の顔が本当に楽しそうでドキっとしてしまった。


「確かに……」


うちにとって、思い出に残る日ってあるんだろうか。


こうして栗崎と一緒にいられる時間が、いつの間にか楽しくて、それでいて当たり前になっている。


だから、全部が思い出に残る日なのかもしれない。


「俺は、稜ちゃんに出会えてよかったと心のそこから思ってる。


俺と稜ちゃんが出会ったのは、必然だけどね」


いつものお得意顔をして、栗崎はにっこり微笑んだ。


「バカか」


恥ずかしさを隠すための、キツいせりふだっていうことも、きっと栗崎は気づいてる。


「うち、こっちだから」


「送ってくよ?」


「いいっ。香矢に見つかったらヤバいから」


あいつうるさいんだもん。


それに、今まで栗崎とはなんでもないって言い張ってきた分、今更好きになったなんて言えないし。


「そっか……。じゃ、また明日ね」


本当に悲しそうな顔をした後、栗崎は寂しげに微笑んで言った。


< 218 / 438 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop