Bad Girl~不良少女~
うちの言葉にほぼ絶句状態の聖華。
「そんな驚くことなくない」
「いや……だって……」
聖華はそれっきり口を開かない。
困り果てたうちは、頭をぽりぽりかきながら、苦笑いで立ち尽くした。
「……なぁ、とりあえず、行かねぇの」
「……」
うちの問いにも聖華は答えない。
「綾村に会おうぜ」
「翼先輩!?」
「……単純」
綾村の名前を出した瞬間、聖華はビクンと反応した。
ほとんど無意識なのか、階段を上って綾村の教室の前へと行ってしまった。
慌てて聖華の後を追って、同じ教室の前に立つ。
「ちょ、聖華」
「翼先輩!!」
うちの存在をほぼ忘れてるのか、綾村とイチャこき始めた。
はぁ、と息をついて、ちょっと教室を見回してみる。
「あれ……」
栗崎がいない。
いつもいる暖房の前にもいないし、席にもいない。
教室を全部見回しても栗崎の姿は見当たらなかった。