Bad Girl~不良少女~
しばらくその景色を眺めていたけど、どんどん日は暮れて、川は赤から薄い黒へと変わって行く。
もうすぐ、夜が訪れる。
帰らなきゃ、とは思っても、体が言うことを聞かない。
親父に怒られる、と思っても、心はそんなことに構ってられないほど沈んでる。
ポケットでケータイが震えてる。
この着信は電話だけど、今は誰かと話しをするようなテンションでもないから無視する。
ピタッと止まって、切れたなと思っていたら、またすぐにケータイが震えた。
ハァ、とため息とともにケータイを取り出してみると、香矢から。
しかたなく通話ボタンを押して、ケータイを耳に持って行く。
聞こえるかどうかもわからいような声で、″もしもし″と呟いた。
「おい、稜。お前、どこにいんだよ」
心配そうな、呆れたような、複雑な香矢の声が聞こえた。
「あぁ……。もう帰るから。……親父には、なんか適当に言っといて」
「適当ってお前…。親父もう___」
香矢の言葉を最後まで聞かずに通話を終了させた。