Bad Girl~不良少女~
イライラが爆発しそうになったとき、扉のすぐ近くでカタっと音がした。
ハッと扉の奥を見つめるように目を見開くけど、扉は開かない。
ちょっと落胆して、もう一度扉に背をつけてしゃがみこむ。
ハーっと息を漏らして、口を開きかけた瞬間。
「……親父は俺でも止められねぇよ」
「っ!?」
急に声が聞こえて、思わずビクッと反応する。
「栗崎っ___」
「稜ちゃんの家を狙ってることも、知ってた」
感情の読み取れない声で、栗崎は静かに語りだした。
「この計画はもう6年も前から始まってる。それより前から吉岡建設との連携は親父がずっと考えてたこと。
俺にも、もう止められないとこまで来てる。
……もっと…もっと早く、稜ちゃんに出会えてたら…。
俺は、この計画を止められてたかもしれない」
ここで少し悔しそうな感情を声に出した。
栗崎の話を、少し目を見開いたまま聞いてるうちは、言葉も出てこない。
「もう止められねぇって……じゃあ、うちはどうなるんだよ…」
やっとの思いで絞り出した言葉は、あまりにも悲痛に響いた。