Bad Girl~不良少女~



あれから栗崎はドアを開けてくれることもなく、うちは栗崎家を後にした。


帰り際、奄美さんが心配そうに送り出してくれたけど、事情を話すわけにはいかないし、と誤魔化してきた。


……これから、うちはどうなるんだよ。


うちと栗崎はどうなっていく…?


いろんな疑問が渦巻く中、一人の女性とすれ違ったとき、なぜだか、それが直感的に吉岡美麗だと感じた。


パッと振り返って声をかけようとしたけど、その女性は栗崎の家のインターホンを押していた。


……もう、栗崎の家を訪ねる仲なのか。


そう思ったら声をかける気にはなれなかった。


バイクのエンジンをかけて、その女性と栗崎の事を頭から追い出して、家に向かってただ必死に走った。


もう、どうしたらいいのかわからない。


これからどうなっていくのかも見えない。


家の跡取りだからって、家を守らなきゃいけないからって、この気持ちを諦めなきゃいけねぇのか?


だとしたら、あんな家いらねぇ。


うちがそう思ってみても、栗崎が家を出る気がなきゃなにも変わらないんだということに気づいて、また一段と気を落とす。


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