Bad Girl~不良少女~



「ただいま……」


誰にも聞こえないような声で呟くと、奥から誰かが歩いてくる気配を感じる。


「稜。どうかしたのかい?」


「…おばあ!?」


大分前に墓参りに行くって言って家を開けたおばあがいつの間にやら帰って来てる。


「奈良行ってたんじゃねぇのかよ?」


「さっき帰ってきたんですよ。それより、どうかしたのかい?そんな顔して」


やっぱおばあには敵わない。


なにもかも見透かされてる気がする。


「親父と香矢たちは?」


「誰もいませんよ。お父さんは会合だとか言って入れ違いに出ていきましたし、歌南虎さんはお兄さんに会いに行くとか。


輝之は三波を連れてまた遊びにでも行ってるんじゃないかしら。香矢はなにか慌てた様子で出て行きましたよ」


……なんでみんなしていねぇんだよ。


思わず笑ってしまった。


ほんと、呑気なんだよな、うちのやつらって。


うちだけ抱え込んで悩んで、なんか損した気分だわ。


< 307 / 438 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop