Bad Girl~不良少女~
不適な笑みを漏らしたうちを怪訝な顔で二人は見る。
「もし、このことであいつと別れるようなことがあったら……そのときは、
それほどの関係だったんだって諦める」
「稜……」
意外にも香矢が辛そうな顔を見せた。
「なんでお前がんな顔すんだよ」
軽く笑ったうちをちらっと見て、香矢はポツリと呟いた。
「お前には、俺みたいな想いしてほしくねぇから」
その言葉の意味がよく分からなくて、香矢を見つめる。
「……お前らには初めて喋るけど、俺、彩夏と付き合う前の彼女と親が原因で別れてるんだ」
静かでゆっくりとした口調に、うちらも口を閉じて聞き入る。
「彼女の親さ、もう潰れた組の幹部やっててさ。
付き合い始めて4ヶ月くらいのとき、この辺一体の組を5つのグループに分けようって話が出た」
「あぁ。結局うちはどことも繋がらなかったやつだろ?」
三波が珍しく思い当たる。
「…それは、どこかの組の下に入ることになるか、どこかと連携しなきゃならなくて。
うちはどことも繋がる気もなかったけど、彼女の親の組は違った。
そのせいで、向こうの親が彼女に俺との付き合いを辞めるように言ったんだ」
辛そうに目を閉じて、大きく息を吸い込む。