Bad Girl~不良少女~
みんなを見回して、背筋を伸ばす。
スーッと息を吸って、吐き出すと同時に言葉を発する。
「……この家は、誰にも渡さねぇ。なにがなんでも、うちが守り抜く」
この場にいる全員が、うちの言葉の意味を理解した。
いつもより目が真剣な家族を見てちょっと誇らしくなる。
…うちの家族は、こんなにも堂々としてて、こんなにも自分に自信がある。
誰一人文句は言わないし、当主が決めたことはちゃんと受け止めるだけの器量を持ってる。
久しぶりに、この家に生まれたことを誇りに思った。
「もし、全面戦争になっても、江戸前は勝ち抜くだけの野郎ばっかだ」
じいが得意気な顔で言う。
「三波、子分共に詳細伝えて来い。なにがあっても全力で戦えってな」
じいと目を合わせて、よしきたっと親指を立てた三波は、勢いよく居間を出て行った。
この家には、離れがあって、そこに大体の子分たちが住んでいる。
三波はそこへ走って行った。
「稜。栗崎の息子とはちゃんと話したの?」
「はっ!?母さん、何で知って……」
「だてにあんたの母親やってないっての」
ニヤッと黒い笑みを浮かべた母さんに、思わず舌を巻いた。