Bad Girl~不良少女~
悪い笑みを湛えているところを見ると、香矢もやっぱ親父たちの血を引いてるんだ、と思う。
「まず、栗崎の家を攻めたところで、十中八九メイドと執事しかいねぇだろ。
だけど、きっと会長もここにいるんだろうから立て籠りとかしたら痛いな」
言いながら、香矢は栗崎の家の場所に赤色のペンで三角印を入れた。
「次に、栗崎の親父の政治事務所だけど。
一等地ってこともあって、あんまり人通りはねぇけど、その分大勢で攻めると目につきやすい。
おまけに、あそこは近くに交番があるから、下手すると警察沙汰になっちまう」
栗崎の親父の事務所にはバツを入れる。
「じゃあ、長田と横田んとこは?」
「ここが一番自然で、警察もそんなに動かないとこだ。
だけど、それじゃあうちのやつらが動くのと同じ動きになる」
指でペンを弄びながら香矢は考え込むようにペンでこめかみのあたりを叩く。
「やっぱり、栗崎の家だな」
考えをまとめたような口調で言うと、おばあの方を見た。
「えぇ。私もそれが一番いいと思うわ。稜には悪いけど、息子さんに人質になってもらうのがいいわね」
ズキッと心臓が少し音を立てたけど、知らん顔をして頷いた。
「じゃあ、子分もグループ分けしなきゃなんねぇな」
「お、そうだな。そうするか」
なぜか子分に人気のある三波に任せることにして、おばあと香矢は改めて作戦を練りだした。
そんな二人をちょっと眺めてから、おばあの部屋を後にした。