Bad Girl~不良少女~
綾村が聖華の声に反応して、爽やかに笑う。
ついでにうちとも目が合って、なるほどと言ったように頷くと、ちょっとあたりを見回して、もう1人人を連れてきた。
「おはよう、聖華。はい、稜ちゃん」
聖華に嬉しそうな視線を向けながら、うちに連れてきた人を差し出した。
「稜ちゃん…」
「く、栗崎」
しばらく、お互いなんて言っていいのか分からなくて黙ったまま見つめ合った。
隣では綾村と聖華が楽しそうに話してて、途中2人でどっか行ってしまった。
「稜ちゃん。俺に会いに来てくれたの?」
沈黙を破ったのは、相変わらず憎らしい得意気な顔をした栗崎だった。
「ば、バカじゃねぇの。聖華に無理やり連れてこられたんだよ」
ホント、自分可愛くねぇ。
言って後悔していると、ふーんと栗崎は肯いた。
「今日の放課後、教室で待ってて。迎えに行く」
ドキッとするような微笑みを見せて、栗崎は教室に戻って行った。
なんだか取り残されたような気分になりながら、自分も教室に戻れば、まだ聖華は帰って来ていなかった。
机にうつぶせると、さっきの栗崎の微笑みが浮かんだ。
迎えに行くって……うちに最後まで学校にいろってことだよな。
栗崎の言った言葉を思い返して、絶望する。
まぁ、寝てりゃいいのか。
そもそも、今日学校に来たのは自分の意思だし。