Bad Girl~不良少女~
ガラッと音がして、パッと顔をあげれば涼しげな顔をした栗崎が立っていた。
「遅ぇんだけど」
時計を見れば、軽く1時間は経過している。
うちがブスッとなるのもしかたないことだと思う。
「ごめん。みんないないほうがいいと思って」
やけに素直に詫びを入れる栗崎に、若干の気持ち悪さを感じてしまった。
うちの隣の席に腰かけて足を組む動作は、本当に見惚れるくらい美しかった。
なんだか気恥ずかしくなって、体を正面にする。
「な……なんで迎え行くとか言ったんだよ。昨日、電話じゃ河原でって言ったくせに」
突っかかるような言い方になってしまうのは、照れ隠し。
「今日…稜ちゃん学校来ないと思ってたから。会いに来てくれて、嬉しかったよ」
「全然答えになってねぇし」
微笑みを浮かべて、ちょっと首を傾げて見せた栗崎をチラッと睨んだ。
「学校来ないなら河原で待ち合わせようと思ってた。
でも、せっかく稜ちゃんが学校来たなら少しでも早く会いたかったの」
ストレートすぎるくらいの言葉に、心拍数が増すのが分かった。
だけど、うちはまだ栗崎を許してないんだ。
許嫁の件も、生徒会室の件も。
思い返せば、また怒りがふつふつと沸きあがってきた。