Bad Girl~不良少女~
だけど、せっかく栗崎と普通に話せてるのに、また喧嘩すんのはいやだ。
そう思ったら、不思議と怒りは収まった。
「ねぇ、今日もバイクで来たんでしょ?」
「お、おう」
急すぎる質問に戸惑いつつ返せば、栗崎は立ち上がった。
「じゃあ、河原行こうよ」
「は?」
「稜ちゃんの後ろ乗るから」
予想もしなかった展開に、口を開いたまま固まってしまった。
無理やり腕を掴まれて教室から出ると、階段を下って玄関まで連れてこられた。
こりゃ、ほんとにバイク乗るつもりだ。
諦めて靴を履きかえて、ポケットを漁り鍵を見つけた。
外へ出れば、まだ明るくて部活をしてる人たちの声がした。
駐輪場へ歩いて、バイクに跨ると、栗崎にメットを放り投げた。
「稜ちゃんは?」
「あ?大丈夫だよ、無くたって」
こんなことになると思ってもいなかったから、2つもメット用意してないし。
うちなら途中止められてもなんとか切り抜けられる。
「じゃあ、行くぞ」
鍵を挿して、エンジンをふかせてからそう声をかければ、ギュッと腰のあたりに腕が回った。