Bad Girl~不良少女~
河原へ走りながら、どう考えてもふつう逆だよな…と何度も思ってしまった。
長い髪がなびくから、栗崎に当たってるんじゃないかって心配になったけど、恥ずかしくて振り向けなかった。
「稜ちゃん!!」
「なんだよっ」
「……気持ちいいね!!」
大声を出さないとお互いの言葉が聞き取れないから、栗崎はでっかい声で、嬉しそうな声でそう言った。
「……おう」
奴には聞こえたかどうか分からないくらいのボリュームで返事をした。
「ここ、ほんと気持ちいい」
河原について、バイクを降りた栗崎がメットを外しながら言った。
少し斜面になってるところに腰を下ろしたから、うちもその隣に座りこんだ。
「っていうか、お前免許持ってねぇのか」
「ううん、持ってるよ」
川を見つめている栗崎した質問に返ってきた答えに、驚きを隠せない。
「じゃ……お前が運転すりゃよかっただろうが」
「稜ちゃんの運転してるとこ見たかったから」
ごく自然な疑問をぶつければ、当たり前とでも言いたげな顔で返された。