Bad Girl~不良少女~
はーっとため息をついて、座りなおしてあぐらをかく。
「じゃあ、用件話そうか」
ポツンと、急な感じで口を開いた。
「俺には、吉岡美麗っていう許嫁がいるよ。それは、何年も前から知ってた。
だけど、俺も美麗もお互い結婚する気なんかなかった」
″美麗″って呼んでるってことは、交流はあるんだよね、やっぱり。
「6年前…中1のとき、親父に会わせたい人がいるって紹介されたのが1個上の美麗だった。
このときからすでに、吉岡建設との連携の話が具体化してきてた。詳しいことは話してくれなかったけど、今思えばそういうことで会わされたんだ」
ゆっくりとした口調で話をする栗崎に、うちは黙って聞く。
「稜ちゃんになにも言わなかったのは、言ったところで不安にさせるだけだって思ったから。
結婚する気なんてない人の話したって、信じてくれないと思ったんだ」
「……バカじゃねぇの」
呟くように言って、ゴロンと寝転がった。
だけど、今だから栗崎に許嫁がいても気持ちは変わらないって思えるけど、前ならどう思ったか分からないのも事実だった。
「まさかあんなに怒ると思わなかったから……。ごめんね」
後ろを振り返って、申し訳なさそうな顔をした栗崎と目が合えば、自然と起き上がっていた。
「べ、別に…」
プイッとそっぽを向いて背中を向ける。
「でも、ヤキモチ妬いてくれたみたいで嬉しかった」
「っ…そんなんじゃねぇから」
ヤキモチとか言われたら、急に怒ったのが恥ずかしく思えてきた。