Bad Girl~不良少女~
「じゃあ……うちがお前の家に乗り込んで行ったのは、まったくの無駄だったってことかよ」
苦笑を漏らしながら聞けば、悪戯な笑みが返ってきた。
「そんなことないよ。……稜ちゃんが、前日にうちに来た意味が分かったもん」
ツーっと首筋を指でなぞられて、体が固まった。
それと同時に、栗崎の言葉の意味が理解できて顔が赤くなるのが分かった。
「俺とさよならすることになってもいいって思ってたんでしょ?」
クイッと顔を近づけて、うちの目を下から覗き込む。
違うとは言えないけど、そうだって認めたらなんかヤバい気がする…。
「な…なんで…それが分かってて…あんなことしたんだよ…」
「あんなこと?」
絶対に意味は分かってるはずなのに、わざとらしく聞き返してくる。
「あんなことってなあに、稜ちゃん?」
さらに顔を近づけてくるから、慌てて体を後ろに引く。
「な、なんでもねぇよ!!」
バッと栗崎の腕を払って、立ち上がる。
ずんずんと歩いてバイクに跨れば、栗崎が楽しそうに笑う。
「だって……また戻ってきて欲しかったから」
急に真剣な顔をしてエンジンをかけようとするうちの手を掴んだ。