Bad Girl~不良少女~



「それじゃあね、稜ちゃん」


バイクを降りてメットを差し出しながら、栗崎が言った。


「おう」


メットを受け取りながら返事をする。


「稜ちゃん。全部片付いたら、連絡するから。それまでね」


苦しそうな表情を一瞬覗かせて伝えた栗崎に、フッと笑って肯いた。


「別に寂しくなんかねぇから、んな顔すんな」


かぶりかけてたメットをハンドルに引っかけつつ言う。


「……寂しくないの?」


一歩前に出て上目使いで聞かれて若干たじろぐ。


「お…おう…」


「ふーん」


口を尖らせてクイッと顔を近づけてくる。


「な、なんだよ…」


「ほんとはさぁ……寂しいでしょ?」


至近距離で囁くように言われても、別に寂しくないもんはない。


そう思ってグイッと栗崎の肩を押して引きはがす。


「っていうか。お前が寂しいんだろ?」


呆れ口調で切り返せば、目を見開いた。


図星かよ……。


< 374 / 438 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop