Bad Girl~不良少女~
「それじゃあね、稜ちゃん」
バイクを降りてメットを差し出しながら、栗崎が言った。
「おう」
メットを受け取りながら返事をする。
「稜ちゃん。全部片付いたら、連絡するから。それまでね」
苦しそうな表情を一瞬覗かせて伝えた栗崎に、フッと笑って肯いた。
「別に寂しくなんかねぇから、んな顔すんな」
かぶりかけてたメットをハンドルに引っかけつつ言う。
「……寂しくないの?」
一歩前に出て上目使いで聞かれて若干たじろぐ。
「お…おう…」
「ふーん」
口を尖らせてクイッと顔を近づけてくる。
「な、なんだよ…」
「ほんとはさぁ……寂しいでしょ?」
至近距離で囁くように言われても、別に寂しくないもんはない。
そう思ってグイッと栗崎の肩を押して引きはがす。
「っていうか。お前が寂しいんだろ?」
呆れ口調で切り返せば、目を見開いた。
図星かよ……。