Bad Girl~不良少女~
「あ!!稜ちゃん!!」
数日経って、女子に囲まれて談笑していた友也が、教室の入り口を見たとたん、駆け出した。
「あれが稜ちゃんか。まともに見たの初めてかも」
ふーん、とあまり興味もなく返信の途中だったメールを打つためケータイの画面に視線を戻す。
「…翼、翼!!ちょっと来て」
”稜ちゃん”と仲良ししていたはずの友也が、ちょっと小走りで俺のところへ来て、手を引っ張りながら言う。
「この子が、お前に用だって」
ちょっと顔の筋肉が緩んだ友也が、”稜ちゃん”の後ろに隠れるように立っている女の子を指さす。
「お…おはようございますっ」
俺と視線が合うと同時に、ぴょこっと頭を下げたその子は、少し小柄なかわいらしい子だった。
「おはよう」
返事を返せば、顔をあげて嬉しそうにはにかんでいて、その頬はちょっと赤らんでいる。
あぁ…この子、俺のこと好きなんだな。
昔から、こういう勘はよく当たる。
自分のこともそうだけど、他人のことに関しても、なんでかわからないけど直感で分かってしまう。