Bad Girl~不良少女~



「まずい、授業遅れるっ」


前の授業が自習だったため、教室で日向ぼっこしながら寝ていたらうっかり寝過ごしてしまった。


移動、それもなかなかの距離のある教室までだから、ほぼ走っているような状況。


最後の階段を降りようとしたところで、見覚えのある白い服と長い髪が見えた。


「あれ。稜ちゃん?」


若干不穏なオーラを纏った彼女は、若干不機嫌な顔で振り返った。


「綾村…」


友也に呼ばれたとでも思ったのだろうか、ちょっと不意をつかれたような表情。


「どこ行くの?帰るの?あ、サボりか」


近くでまじまじと見れば見るほど、興味のそそられる人種だ。


俺の一方的な質問に毒を抜かれたような感じで体を引いている。


「お前こそ、何してんだよ。授業始まんぞ?」


イメージ通りの声のトーンに、イメージ通りの言葉遣い。


……いい、とってもいい。


同級生の兄貴2人はあんまり好かないけど、妹は大好きだ。



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